可能の面に立つと、女の私は嵩だかなのよ。私としては望ましくない位。大抵のところは根太がぬけるのよ。安心して自分の重みをかけると。ですから私としては底をぬかない用心を自分でやって、副木を添えて一歩一歩と自分の歩ける場所をひろげてゆくわけで、そういう工兵的生活法のためには副木として役立ついろいろなもの、私の役立ついろいろな必要が多いところほど暮しやすいということになります。この一ヵ年近くの間に私はここでもかなりそういう工事に成功して、これからの条件に備え得たと思います。骨もおしまず、必要を洞察し、経済的なことでも私は出来るときは出来るだけのことをする、やぶさかでない利己的でない人間としてはっきり理解させ、或意味では恐縮に思って貰う位で、はじめてその人柄というものの力で通してゆけるようになるのが平凡なぐるりでの順序です。うちへのことも、国は寿江子のことでよく云うから、不平があるときっとそのことにふれるから、私は特別バターや牛乳やパンやらを心配して貰ってもいたし、それを考えてしていたのですが、この頃はみんな配給がなくなったからその費用はないのですし、そうすれば当然額も減っていいのだし、そういう
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