です。
 周ちゃんのところではお姉さんでしょうか岩本さんという人にお嫁入りした足のわるい方。その方夫婦がこの節は一緒らしいのよ。すすむさんというお兄さんは、徳山の井村さん(銀行の人)の親戚で只一人娘さんだけのこった家へ養子に行ったそうです。お金はあってなさそうじゃとのお話。
 周ちゃんをよぶとか云っていて、その様子ではふさわしくもないでしょうから、おばさまいらしてようございました。
 どこも御案内が出来ないが、孫さんと二人で観て下さるよう歌舞伎の一等二枚奮発して、お土産話の種にいたします。そして、七月初旬おかえりというからそれ迄に田舎へのおみやげをもって行きましょう。東京でみると、あちらの女の人たちはみんな周ちゃんに似て線が太くてかっしりね、多賀ちゃんもそうだったが、それでもほかの人たちの方が健康のせいかもっとかっしりと線太で面白く感じました。北の方の人々は地の柔かい深さを感じさせ、あちらは、石の切り出した厚みを感じさせ、そのちがいも面白く思われます。人の性格かと思ったけれどもっとひろい共通性のあるものなのね。岩本のおばさまったら、私が丁度いい位にやせたと、島田のお母さんに云っておこう
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