カフェー」の絵はがき)〕
六月二十一日
栗林さんの受取りを、きょうさがしたのですが、どうもしまい忘れたらしくここぞと思うところになくて悲カンしています。しまい忘れということをやったのね、隆治さんの所書き式に。クマのように、そのときやたらに失くすまいとして、妙なところに入念にしまって、もう次の日ぐらい忘れてしまったのだわ、些か我ながら哀れです。あすこはルーズだから、その時の分と云って果してわかるかどうか気がかりですが、ともかく計らって見ます。
六月二十二日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 駒込林町より(石川確治筆「七面鳥」の絵はがき)〕
今薬をのんで思いつきましたが、そちらまだオリザビトンが間に合って居りましょうか、メタボリンこの頃入手むずかしくそれでもあなたが御入用でもいいようにしてあります、きのう島田からも送って頂きましたし。どうか早いめにお知らせ下さい。きょうのお手紙に交通杜絶とあり全くそれに近いわね、御免なさい。私がやきもきするの、小さな気だとお思いになっていたかもしれないけれど、実際の事情とお分り下さるでしょう?
六月二十二日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 駒込林町より(封書)
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