で見える目の大きい蛇ばらかごですから。もしよかったらそれをお送りします。大きくなくて三合せいぜいでしょうが。ビールビンは殆どのぞみなしよ。口のまとめかたその他困難の由。
 家を引ぱって行くこと。規定で、その家が焼失しかけたとか、全く古くなってくずれかかっているとかいうのでないと手がつけられないのだそうです。かんとく官庁(警察の建築課)の首実検がいる由。そうしてみると島田のような事情のところは山手よりに家を買うしかなくなりますね、その家たるや法外な価です。この頃新建ての貸家は水道ガスなしですが、それで八、四半、三位で四十円以上です。大したものです。どうして暮せているかと思うほどです。
 森長さんには土曜日に届けられます、支払うべきお金があるなら知らしてくれるよう申そうと思います。
 動坂の方をまわってかえったときぐるっとあの家の方を歩いたら、やっぱり樹かげをガラス戸にうつして家はありました。そして、大学生(どこかの)がかえって来て、小さい子がおかえんなさいと反対の方へかけ出して行きましたが間借している様子でした。昔のわが家というものをそとから眺めるのは不思議な感じね、すっかり面変りがして
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