青鞜の時代にまとめて出ました。私の願うところはね、チョロチョロと流れ出した水の流れについて我知らずゆくうちに、濤も高く響も大きい境地に読者がひきこまれてゆくというところなのよ。
 十日のには、雪が降って悦んでいることだろうとあり。あの雪はなかなか作用して、この小説は「雪の後」という題になりました。あの日の情景がいろいろと映った短篇です。峯子というのが主人公よ。小さいけれど、真面目な作品よ。なかなか愛らしいところもある、そう思っているの。正二という峯子の許婚《いいなずけ》がいます。「夜の若葉」で気がおつきになったでしょうか、順助の口調。作者は順助に好感をもっているのです。情愛というものがある男として描いています。男が女を愛すという、その偶然や自然力やそのものの支配の底に人間として情愛をもっている男、そういう男を作者は描くと、そこにどうしても響いて来る声があって、そのまざまざとした声音《こわね》があって、ああいう口調が出るのです、面白いでしょう? ひろくひろくよむ人の心の奥までその響がつたえられてゆく。面白いでしょう? そしてそこに、その人々の人生にとってもましなものとしてたくわえられてゆ
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