一生懸命に仕事をしていい勉強をしておいて、そういう折は御褒美に、暫くは仕事のことなんかポイ御免蒙って、おそるべき牝鶏かみさんになって見たいものだと。クウコッコッコ、クウコッコッコとね。なんにもほかのことなんか考えたくないわ。それで御異存もなしという位に日頃からの心がけ専一に仕事をして置こうというのだからすごいでしょう? 太郎はこういう形容はごく感性的に、日本のゴと柔らかく発音しないで、su goi da ro と goi にはっきりアクセントつけていうのよ。
 戸塚のおばあさんのお見舞に行ったらばね、おばあさんの方は、小さい溢血だったそうで舌ももつれず、手足もしびれず、ちょこなんと床の上に坐っていて、旦那さんが肺炎のなりかけで熱出して、胸ひやしてフーフー云って臥て居りました。あっちの細君は四国巡回の講演です、銃後奉公の。では明日ね。

 十一月六日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 駒込林町より(封書)〕

 十一月六日  第四十八信
 国府津のには番号がぬけましたが四七に当るわけね。
 さて、いかが? 十月は仕事の仕度をしなくちゃならないと思って気を張って、いくらか手紙御無沙汰になってしまいまし
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