の祖母は安政の大地震を知っているのよ。祖父は厠にいて内で身じたくをなおし乍ら、母上はどうしたどうしたとよんでいたということです。堀田の殿様が家の下じきになって、何とかして地震の下からほった(掘った、堀田)殿様という落首が出来たりしたそうです。昔の災難は今からきくと何となし単純で、直接法で、それっきりというところがあるわね。もうこれで紙がなくなりました。思っていたよりずっと手紙書いてしまったもんだから(この紙は貴重品故そちらにしかつかわないのよ。こんな細かい字で、こんなにあとからあとからひとりでに書く手紙なんて、ユリの通信範囲には他にありようないわけですから)もうかえらなけりゃね、だから。ここはポストが駅で不便です、何しろ島田の町を縦断する大旅行(!)ですから。
 今小ぶりの間にお風呂たきつけに出たら珍しいものを縁の下で見つけました、うちのだったのかしら、茶色のところへ白で宮本酒店と焼いた徳利が一つころがっています、何年ああやってころがっていたのかしら。うちで、油や米のほかに酒があったこともあるのでしょうか。
 ベリンスキーの文芸評論、一八四六年にこれだけ「現代」に近づいているということ
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