−7−82]芸術座の話なんか質問したのは私きりというのも珍景でしょう。人間の見かたなんかもいろいろフームと思うところあって面白うございました。鼻下チョビ髭の人は我を忘れて神がかりにすぐなる人、大親分というのがふさわしい人、或は深淵のような人という工合でね。その人はI夫人のお婿さんの由でした。
 さあ今日はこれからそちらに行って、かえって夜は久しぶりで落付いて仕事いたします。屋鳴震動ももうすみましたから。うちの方の大掃除は五月三十日ごろだそうです。すっかり畳をあげてやろうと思い、今から心がけて居ります。
 では又、この次はこんなに間をとばさないですみます。

[#ここから2字下げ]
[自注5]ヴァージニア・ウルフが自殺したと出て居りました。――イギリスの心理主義婦人作家ヴァージニア・ウルフ。ヨーロッパ大戦がはじまり、ロンドン空襲があってのち、投身自殺をした。
[#ここで字下げ終わり]

 五月二十七日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 目白より(封書)〕

 五月二十六日  第二十五信
 かえってポストを見たらば、からっぽ。やっぱり明日ね。あしたはあしたとして、きょうはきょうのを一寸。何故ならば、ベ
前へ 次へ
全471ページ中201ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング