すから。但、まだ交渉はしないからどういうことになるかは分りませんが。
 ほんとに書生並に暮していい私の気持と、いろんな条件がめんどうくさくくっついている現実とのバランスがむずかしくて、やっぱり具体的な可能はそう幾とおりもないのですね。私のいないとき来て、お恭ちゃんにさえあんなことを云うのですもの、名刺があるだろう見せてくれないかという調子ですからね。常識で判断は出来ないわ。家のこと、きまったことにしましょうね。
 私としては、あなたがいろいろと雰囲気的な点を気におかけになって、いつかのように、お嬢さん的逆転というようなこと余り敏感に考えなければならないようではよくないと考えていました。その点にはっきりわかった上でなら気も休まります。でもいろいろの事情って面白いものね。現今の一般的な条件のよくなさが、却って或る意味ではあすこに住める、住んでもまあという条件となって来ているのは実に面白いと思います。だってどこだってお米はないのですもの。菓子はないのですもの。もみくしゃで歩くのですもの。
 私は上にわれらの家を形成します。そこの掃除その他は、すっかり自分でやることにします。このベッドをおき、
前へ 次へ
全471ページ中139ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング