ローは大分そのためらしい由です。それで、塩のことが云われていて、硬い毛の歯ブラシで塩をほどよくつかうと、歯ミガキがもたらす害は少くともないということです。勿論決定的には云われないのでしょうが、この頃のように材料すべてがむずかしく従っていかがわしくなると、或は一考の価値あるかもしれませんね。栄さんが、髪を洗うのに、シャンプー(花王や何か)つかいすぎて今前のところがひどい有様になっているのよ。顔ちがいがするほどよ。シャンプーとか歯みがきとか、要心ね。あなたは普通のシャボンで髪洗っていらっしゃるのでしょう? その方がいいわ。私はおはげはこまるからこれからはふのりで洗いましょう。布地をはったりするのりよ。栄さんたら、どんな短いものでも書くときは髪を洗いたいんですって。可哀そうに! 三四冊の本のためにあんなになるなんて! しかも内からではなくて、外からあんなになるなんて。私の手を洗いたい癖の方が余程安全ね。何か書いているとき何度洗うでしょう、実際|膏汗《あぶらあせ》も出るのでしょう。いろんな細かい仕事をする人が神経の調節のためにいろんな癖をもっていて、必ずそれをやるのは可笑しい、しかし生理的なことなのね、きっと。近日うちに達ちゃん出かけるかもしれませんね、中旬か下旬に。
夜着、お気に入ってうれしいわ。私は大変気に入っているのよ、では明後日に。
十月十一日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 駒込林町より(封書)〕
十月十一日 第四十三信
今夜は四日と八日とへの御返事。本気で勉学をはじめると、それでも御褒美が出るからうれしいことだと思います。
四日のお手紙の諧謔調は、ひとり読むには余り惜しく、かたがた些か恨みのこもる人も居合わせたので(寿)声高らかに音読して一同耳をすませて拝聴いたしました。国男がニヤリとした顔は御覧に入れたく、ああちゃんは(咲)まア可哀想にねえ、あっこおばちゃん、と同情し、寿江子はヘヘヘヘと笑いました。それでもパニック的状況がすんでから手紙を書くというところまであなたの御修業がつんだということは、あなたの誇りでしょうか、それとも私の恥でしょうか。極めて微妙なところであると思います。この間の消息はスウィート・ホーム(!)の門外不出に属すわけでしょう。冬シャツのこと、それからもう一組の袷と羽織、おうけとり下さいましたろう。
ところでね、今、私は少しそわついて居
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