一時間もして二階でねているうちに、もう室積からここのとつれ立って、東京からお客さんが見えたそうでって来た由。こういう風なんでね。こちらは。
お母さんは急に思い立って、三田尻のどこかへ前のおかみさんとお詣りです。たまよけの御守りがあるそうで。それをもらいかたがた。自己慰安ちゅうのじゃろうのあんた、と笑いながら。
一つ吉報を申しあげます。ここのあの恐るべきノミはどういうものか今年は姿をあらわさず、私の助りかたは一とおりでありません。きっと家じゅう清潔になったからなのね。タバコやと店との間に水色レースのカーテンがひらひらしていたり、店と台所との区別にのれんが下っていたり、あちこち改良よ。向う座の四畳半も南だけ開いて風が台所の方からだけとおるから、いくらか真夏はあついかもしれないが落付いた小じんまりとした部屋になって居ます。きれいに納めたらなかなかいいわ。いまに、こっちの子供たちがふえると、あすこがおばあちゃんのおへやになるのですね。別に建てるよりずっとまとまってようございます。出入りにもいいし。お母さんが本箱のこと云っていらしたの、本当に一つあった方がいいわね。いろいろのものがこの頃はすっかりそろっている、でも本棚は一つもない、そういうのはよくないから。林町と同じことで。目白から送ってくれというお話だったのを、今度そちらへ行ったとき買いましょうと云っていた、今度買おうかしら。友ちゃんの部屋に小机がないのよ。これから丁度こうやって私がちょこちょことあがって来ては書くように、輝が眠るとそのよこでちょこちょこと書きたいでしょうのにね。あのかくれ部屋に机がないのは友ちゃんにゆっくり話しをする世界の中心がないようで可哀そうね。こんな堂々たる一間に一間の大ダンスだの、半畳の畳を立てたようなやぐ箪笥だのあっても、小机がお道具にはついていないのよ。それを私たち買ってあげましょうか、大したものでなくていいのだから、ねえ。いい案でしょう? それとその上に飾る小さな写真たて(これはかえってから送ってあげる)折角優秀花嫁が二三年あとにはBさん同様のものではこまりますからね、ただ目はしの利く利口ものになられてはおそろしいからね。店の机で書くのは出来ないわ、私にさえ。お母さんはお出来になるけれど。息子たちへの手紙だし。今私が使っている二階のこれはおろせないし。本当にそうしよう。室積でも売っている
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