すから。但、まだ交渉はしないからどういうことになるかは分りませんが。
ほんとに書生並に暮していい私の気持と、いろんな条件がめんどうくさくくっついている現実とのバランスがむずかしくて、やっぱり具体的な可能はそう幾とおりもないのですね。私のいないとき来て、お恭ちゃんにさえあんなことを云うのですもの、名刺があるだろう見せてくれないかという調子ですからね。常識で判断は出来ないわ。家のこと、きまったことにしましょうね。
私としては、あなたがいろいろと雰囲気的な点を気におかけになって、いつかのように、お嬢さん的逆転というようなこと余り敏感に考えなければならないようではよくないと考えていました。その点にはっきりわかった上でなら気も休まります。でもいろいろの事情って面白いものね。現今の一般的な条件のよくなさが、却って或る意味ではあすこに住める、住んでもまあという条件となって来ているのは実に面白いと思います。だってどこだってお米はないのですもの。菓子はないのですもの。もみくしゃで歩くのですもの。
私は上にわれらの家を形成します。そこの掃除その他は、すっかり自分でやることにします。このベッドをおき、この机をおき、下の台をおき、例の茶ダンスを置き。柱にはこのボンボン時計をかけましょう。そして、自分の時間割にしたがってやりましょう。こまごましたものに時間をとられない代り一年の大体半分はまとまったものにかけながら、自分の仕事をためてゆきましょう。小説をかきましょう。それから一つの系統だった文芸評論も。(これは、あの婦人作家たちの勉強や十四年間からの収穫ですが、明治以来の作品について創作の方法の推移を辿って見たら、大変興味があろうと思います。開化期の渾沌にある二筋の傾向、福沢なんかの流れと、「安愚楽鍋」(魯文式のと)からずっと。これは大した仕事だけれど、やっぱりなかなか面白そうです。そして、かけ出しに出来る仕事でもないでしょう? いろいろ面白いわきっと、一時期ずつに区切ってしらべて行ったら。外国文学の方法の風土化の面もよく見て行ったら、ね。これは極めて巨大なプランですからぽちりぽちりとやって見ましょう。日本には評論の史的研究は久松潜一氏のものなどなくはないし土方定一がいつか一寸したもの出していたりしましたが、作品についての、そういう具体的な、作家の矛盾にまでふれての方法の研究はまだありま
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