一人では一ヵ月八十匁ですもの。さて、実際にその人のことになると大変むずかしいわけです。何しろこっちがこっちですから。
 この前のときはあのときの条件から、強引生活をやって一ヵ年と四ヵ月暮しましたが、あれはいい経験となってプランを立てるについても今は有益です。ああいう方法ではいかに不可能かということが分っているから。どんなに小さくても自転作業がなくてはなりません。わたしも少しは実際的能力がたかまったというわけです。この点についても御褒美がほしいわ。私たちの最低の安定を発見さえ出来たら、もう心にかかる憂雲もなしと、勉強して、働いて、ボンボンになぐさめられてやってゆけます。〔中略〕
「どうしてもわけがわからない、ピンとこない、のみこめず不思議」と寿江子が眼をパチパチやっているのが無理もないわけね。のみこめる訳がない現象なのだもの。きょうあたりは、何だかいろいろ考えていて、ふっと可笑しくなるようなところもあります。大分御思案だな、無理もない、と。ホラ、ユリ、どうしたい? と。
 きょう税の申告をいたしましたが、これこそ不合理そのものよ。前年度はたった七百円ぐらいに五十三円ばかりの税でした。五倍だというなら二百六十何円の税というわけです。どこから其を払ってゆくかということについてはとりたてる方は問題にしないのね。
 こんなに苦心していれば、小説の点のようにどうにか展開いたします。小説はつまり現実のことですから、丁度小説の世界のシチュエーションを考えてゆくように、諸条件をよく調べて、内外の動的な作用をよく観察してプランを立てれば、きっと最小の展開はいたしましょう。感情的にならないで考えられるようになればもう占めたもので、そろそろ大丈夫よ。それは手紙の調子でお感じになれるでしょう? 何も経験ねえ。子供のひきつけで、はじめ動顛した母さんだって二度目には少しは呼吸がわかります。先は、いいえ大丈夫です、落付いています、そう云いながら洗面器の水で手拭をしぼろうとして洗面器のそとへ我知らず手をやっていたようなところを思いだします。やかましく云って下すって、金ダライのありかがわかって、というようでもあったわねえ。あれこれ考えると、やっぱり面白いものと思い、苦しいところの面白さも感じて来て、何かのスポーツのような興味もあります、今度は今度の条件でうまくやろう、と。
 私はちっともスポーツの鍛練
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