学的なものが実に欠けているのです。
 一日は、どうしたとお思いになりますか? こればかりはあなたにもお分りにならないでしょう、議会(衆議)傍聴です。これも、その婦人運動家との話同様、私には初めてのことです。そしていろいろの感想あり。『週刊朝日』から行ったのですが。
 急に電力統制になったので、どこもかしこもバタバタです、印刷所などにやはり直接こたえますから。それは〆切りのくり上げということになって、私にもこたえるの。
「第三日曜」までの間にまだいくつもはさまっていて閉口気味です。でも、栄さんにたのんで援軍やって貰うことにしたから何とかなりましょう。面白いものね。口述筆記をして貰うのにS子さんは誰も駄目なの。一々内心で反応するから。栄さんは楽なばかりでなくよくゆくの。可笑しいものですね。人の気質は。私はきっとあなたの口述はうまくとりましょう。多賀ちゃんは余り内容とびはなれていて字からしてむりです。馬琴は目が駄目になって、そういうお嫁さん相手に書いたのだから同情いたします。母の晩年も、そういう人がたのんであって、それでいろいろヨーロッパ旅行記などかいていました。よく、字がひどいと云っておこっていた。
 この頃の日常はなかなかいい方だと思います。多賀ちゃんも大体すっかり馴れて、こまかいこと皆してくれていますし。
 三月下旬、小さい子が来る前、もしかしたら一人臨時に見つかるかもしれず。たかちゃん愉快にやって居ります。いろいろの人の集るところへも、やはりかまわないときはつれてゆく方針です。そしてそこにあるよいもの、下らないものについて、自分の判断をはっきりさせてゆくことは大切ですから。家族的な圏境ばかりでなく。
 二十三日にいただくものね、ああこう考えていましたが、今年はお風呂の寒暖計にします。これは必要だし、永年もつし、大好きなお湯につかうもの、休みのためにつかうもの、新しい活動の力のためにつかうもので大変いいから。やすいものでも可愛ゆいもの、そういうものだからいいでしょう?
 本月(一月)の表は、あらまし次のようです。手帖とり出し眺むれば、
  甲 4(九時台よ)
  乙 22[#「22」は縦中横](十時―十一時)
  丙 3
  丁 2
[#ここから15字下げ。「乙」「丙」の行の下に。]
起床はこの頃七時平均です。起床の丙が本月は三日ほどあります。お正月の二日とあと二十
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