ちょう》や紅葉が、上り屋敷のあたりでもなかなか奇麗な色です。目白の通りずーっと銀杏でしょう。あれがすっかり黄金色よ。二年ばかり前、銀杏が緑を新しく芽立たせて、雨あがりの街の色が実に美しかったときビリアードの横の方へ散歩に出て、土管おき場のわきの大きいからたちの樹の白い花を見た話、覚えていらっしゃって? あんなからたちどうしたでしょう、又いつか行って見たいと思います。この間うちずっと家にばかりいて、何かきょう沁々色づいた葉の色が目にしみました。そしてね、きっと、いろんな街の色彩が全くへってしまったから、こんなに垣根越しの秋の色どりが目に美しいのだろうと、今年の秋を感じました。多賀ちゃんがかえるとうち二人でしょう、するとお砂糖でも何でも大打撃なのよ。三人と二人とでは大ちがいですから。きょうの『都』の夕刊は、学生は震えているという記事が出て居ます、炭のこと。三十四五室もっていても一俵しかないというわけ。それにお砂糖も1/3に配給減になった由。寒いからあつい紅茶一杯ともいかない由。土、日、でなければ映画館へ学生入れず、乗物では腰かけるナ、頭いがぐり。そして炭もない。今都会へ出ている青年たちの暮しということを考えます。寒いから、かたまって本を読もうとしたりすれば、忽ちだし。青春の価値への確信を、彼等はそのような現実の中から自分で見出してゆかなければならないわけです。あらゆる非科学的な矇昧の間をよりわけて。大したものね。
きょうお母さんからお手紙で、この間の速達に対し、およろこびでした。いろいろなこと、そちらから云って呉れると、若いものはよくきくからとありました。でも達ちゃん行くことにしているかどうかは余りはっきりいたしていませんでした。出発の日は見送りにゆくつもりでいるという風にかいてありました。二十三日に面会して、それからあとは、いつ出るのか秘密の由。それでうまく会えるのでしょうか。そこいらのことはよく分りません。
友ちゃんも元気だそうです。お祭りで四五日おさとへかえって来るのですって。そしてね、冬の間、御出勤は女のひとたちはおやめですって。それはそうでもなさらなくてはね。もし万一お出かけになるのでしたらと思って速達のついでに脚の方をひやさない細かいこと書いてさしあげましたが、私が机に向っているような形では駄目なのね。ちょくちょく立って米をはかったりなさるのですって。そ
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