毒だからと云って。林町へ私ゆくつもりでしたが、炭がないとか何が足りないとか(ガスの使用制限でストウブは勿論湯もうっかりわかせない位なの)云ってさわいでいるので、いやだからこちらにいます。
 面白い本の話したいこと。
 そう云えば、私の十日間の表あげなければいけないわね。又たまってしまうと、面倒だから。十二月分の十日。
一日  六・四〇  一一・〇〇
二日  七・〇〇   九・三〇
三日  かぜ気味で一日フラフラ、前日冷えて。
四日  七・三〇   八・三〇 又二時頃おきて朝迄。
五日  朝八時頃床に入り十一時半まで。それから面会へ。九・〇〇
六日  七・〇〇   九・四〇
七日  七・〇〇  一〇・〇〇
八日  六・四〇   九・二〇
九日  七・〇〇  一〇・〇〇
十日  七・一〇  一〇・四〇
    読書は七日からですから、ホントニオ恥シイバカリ、よ。

 十四日には奇妙な職業で月給百円というようなのをききました。今のかぜは、はっきりわるくもならないで、長くかかって心持わるいのね、いやね。
 どうぞお大切に。きのう(十五日)栗林氏そちらへ行った筈ですが、あとで電話をかけて見ます、私は十八日に参って見ます。では呉々もお元気で。又私の手紙の頁数が殖えてしまうわ、縞の着物の細君はどうして居りますか? ではね。

 十二月十九日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 目白より(はがき)〕

 十九日の電報への御返事だけをとりいそぎ。五日におめにかかってのち、八日にゆきお目にかかれず、又九日にゆきやはり同じ。十二日の火曜日もお会い出来ずでした。十六日に行こうとして風邪気味でゆかず。又明二十日にゆきます。栗林氏は十九日にも十五日にもゆきました。

 十二月二十三日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 目白より(封書)〕

 十二月二十一日  第百十五信
 十九日の電報へのハガキ、御覧になりましたか、もう。あの日は富士見町、四谷の病院とおせいぼやお礼にまわって、島田のお母さんのものを買ったりして、林町へまわり、うちへ電話かけたらデンポーだとよんでくれたので、すぐありあわせの毛筆でかいたのでした。
 御様子はいかが? きのうは(二十日)すいていて、すぐ番号が来てほどなくそちらからのお返事が来て、十一時すぎ家へかえりました。ことづけをきいて、ああそうですかというとき、やっぱりある顔になるのがわかって自分で笑えました。それでいいとしているのに。そう思って初めっからいるのに、可笑しいわね。
 この前の手紙は十六日にかいて居ります、むろんついているでしょう。富士見町は、いつからか云っていらしただけです。先生へのお礼も同じだけ。島田のお母さんには、前の手紙で云っていたの、どうも子供っぽくてきっとよく意味がわからないようにお思いでしょうと思って、いろいろ思案の末、半幅帯を見つけてお送りしました。この前上京になった折もキモノはいくつかお買いでしたが、帯は一本もおかいにならず、ずっと同じのをしていらっしゃるから、きっとお正月に羽織の下へ召すのにいいだろうと思って。実にびっくりするほど物は下って価は上って居ます。この一月に四割又上って十円のものが十四円になるわけです。その帯にしろ以前でしたら六七円のものね、きっと。それが倍近いのです。野原へは御免を蒙ってフミちゃんの髪につける花と小母さまの羽織紐。島田へは林町から吉例によってのり[#「のり」に傍点]を。
 林町へ下すったお手紙、半月近くかかったのだそうですね。国男さん事務所へもって行って返事かいたそうで私は見ず。「封緘で書いたのだって!」と咲枝がむくれていました。ここいら面白いわ、あの夫婦の心持のありようのちがい。一事が万事で。
 本当に工合いかがでしょう、熱出ますか? 又ね汗をお出しになったりするの? どうぞどうぞお大事に。
 こちらはね、やはり暮のいそがしさがいくらかある上に、人の出入りが多くて(というのは、はっちゃん母子きょうかえり、いれちがいに多賀ちゃん)というようなわけで、何だかごたついていて、間、間に仕事して居ります。年内に予定だけ行きそうもない。すこし閉口ね、でもそれがあたり前でしょうから。
 明日は多賀ちゃんをつれて慶応へゆきます、例の目の上の黒子をとれるかどうかしらべに。私はこれには全く疑問よ、人間の顔の特長、ある魅力というようなものはのっぺらぼーのところにあるのではないのですものね、眼頭というところは表情的でしょう、もしホクロとれてひきつれでもしたらいかがでしょう。だからよくよくたしかめて、そういう危険は万々なしというのでなければ私はさせないの。やるならよそでやればよい、私のところではいやよ、ね、私は一つの味いと思って見ている位なのですもの。今夜七時四十五分につきます。二十七日か八日に林町では多賀ちゃんも加えて忘年
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