燗ッじに同じところで何だかすこし冷えるわね、というわけですもの。冬夜具をお置きになるというのは一工夫ですけれども、先頃の夜着をおいておおきになって。掛布団の方は近々又もってかえりましょう。そしてよく乾して手入れしようと思います、いかがでしょう、そして麻の軽い掛布団がよかろうと思っているのですが。今こしらえさせているところです。冬のかけ布団十月ではおそいこと? 去年の秋の夜具不足もそのせいでしたか? それとも一枚厚いのがあればいいかしら。
私の冷水マサツ、そんなに絶大の効果を感じたとおっしゃると、でも私やらないわ、と云う理由がなくて、困ったような気になります。窓はすぐレイ行出来るけれど。でもマサツもやりましょう。起きぬけに汗ばんだ体どうせふくのだから。そのときすこし念を入れて本式に。とにかく病気はしまいと思います。こうやって暮していて、体が苦しくないからおのずから会得する感じもあって楽しいところも感じて居りますが、もし先のようだったら、お茶わんすこし洗ったってフーというほどだったのですもの。この切ない体の持つ気持思うと、よくやっていたと感じます。だから、大事、大事。
ドイツ語の作品のこと、年代記がわかるかどうかまだ不明ですが、心がけておきます。健康が十分になったらなんとやりたい語学や勉強が多いことだろう! と仰云る心持、本当によくわかります。そうねえ。あなたが今日の健康の条件を保っていらっしゃるということは、それだけが既に一つの云いがたい努力の成果だから、決して決しておいそぎになる必要はありません。高く評価される点では、作品そのものの切りはなせぬ一部をなす(である)と思われます。
それにしても、生活というものは何と味いつきぬものでしょう、この頃又一しおそう感じて居ます。いつか、ユリが本来ならひとなんかおかないでやって行くべきだとおっしゃったことがありましたね、そのとき、私はなかなかそう行かなくてと云っていたと思います。しかし今こうやっている。そのことについて深く考えます。境遇というものに負けるいろいろの形がある、そう考えます。居る人があるとひとをおいて、いなくてはやれないと思う気持で暮している。しかし現実にいなくなって、しかし暮して行かなければならず、では、どう暮して行くかとなれば、やはり生活の一番本質のところを一層はっきりさせてそれを中心に押して暮す。自分としての生活の重点がキチンと並んだお皿の上にないことは、一目瞭然となり、でもひとがいれば、いる以上はと、そんなことを生活につきそったこととして暮している。そういうこまかいところから細かくない何かで会得されて来て、ユリが本来はひとなんかおかないで、と云っていらしたことが、どういうことかわかりかかって来ます、これはなかなか興味ふかいでしょう? きっちり暮している、そういうことで却って境遇にまけていることさえある、本当の芸術家としては。だから味い深いと思います。私たちには私たちの家庭生活があり、その形がある、そうわかっていても、何か世俗の標準型が忍びこむところがあったりして。いろいろ大変感興があります。ひさのお嫁入りもなかなか悪くない結果と思われます。一応困る明暮を、困らないでゆく、そこに質が変化されます、暮しの内容についての感覚が。書生暮しもいろいろの段階があるものと思います。大いに味ってやっているというわけです。ユリが金持でないことも、仕合わせね。
私は自分が俗っぽくない、俗っぽいところが全くないような出来のいい人間と思っていないから、そういうことも感じます。生活からむけてゆくということ、それは一言には云えないで、むけようによっては人間がわるくなるが、むけかたによっては、やっぱり実に大切なことです。何か非常に大切なことがひそめられている。本質にふれたことがひそめられています。生活というもの、そして生きかたというもの何と微妙でしょう。そして芸術を創って行く人間の心は。広い、歴史の意味での芸術をつくろうとして人間が生活に積極的に当ってゆき、その芸術によって再び生活がひらかれてゆく、そのダイナミックな関係の切実さ。
あなたが生活の中から身につけていらっしゃるいろいろなことということについても、考えられます。ユリは大変おくれてポツリポツリその要点をわかって、そこへ来つつある、そういう工合ですね。生活全体がジリジリ、せり上るのだから時間がかかること。それを見ている方は辛棒が大変ですね。
勉強、十月十七日までには大冊完了でしょう、まさか。七月はがんばります。七八月中に大冊完了というの不可能でなく思えます、夏私は比較的勉強は出来るのですから。多忙の中で、ますます只のやりてやしっかりものになるまいと思います。敏活で、しかも一粒ずつがたっぷり実った葡萄のようにつゆもゆたかに重みある、
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