逡が或程度刺戟されるのは快く感じて、今でも入浴のときは健康ブラシをつかってコスルのですが。でも、いかにも冬さむそうね。冬つづけなければ意味ないのでしょう? ウフ。
 風邪について一つ伺おうと思っていたのは、窓をあけて眠ること。あれはどういうものでしょう。二階の東側一間は、あけはなして不用心でない構造なのです、外部からも見えないし。ですからもしかしたらあけはなして眠ることはじめてもいいと思っているのですが、どういう場合にでも果していいのかしら。日本では例えばキャムプだって湿気が多いからそう大してよくはないそうですが、夜中あけはなして大丈夫なのかしら。直接体に当らず流通しないようにしておけばいいのでしょうか。冷水まさつもよいでしょうが、先ずこの開け放しをやって見ようと思います。どうか一つ御指導下さい。蚊帖をつればあけてもたしかに安全ですね。延寿太夫という芸人は、喉のために冬でも絽の蚊帖を吊って居る由。
 肥ったものは大して丈夫ではありませんでしょう? 私の常識も、その程度までは医学的(!)なのです。そして、私の肥ること考えると些か癪《しゃく》ね、生活条件が深く作用しているのだから。それはもとより瘠っぽちのたちではないけれども。
 送る医書のこと承知いたしました。すぐその配りいたします。手紙の他の二冊も。
 達ちゃんたちへ送るの本当にそうきめましょう。十七日なら月はじめの血相変え時期も一通り終りますから。この間は、珍しいおくりもの島田から頂きました。木綿手拭とタオル。それが、一旦北支まで行って、不要品整理で送りかえしてよこしたもの。あわれタオルも大した長途の旅をしたわけです。あなたの分に、大切にタンスに入って居ります。スフ、はあんまり溶けるので、夏のタオルは木綿のパーセントたかめる由。そして、けさ、荒物やに庭を掃くのに萩《はぎ》の箒をたのんだら、どうもスフになるらしくてありませんとのことです。それからみそこしね、あのわくはよく撓う木ですが、それもなくなって来ていますって。案外のものがなくなりまして、どうも、ハイと申しました。
 二十三日の花、高く匂う花であったのは本懐であると思います。その花の名の二字の、どちらへアクセントつけてお呼びになるのでしょう、いくらか長くひっぱるように名を呼ばれたとき花は花弁の一つ一つをふるわせつつ、静かにしずかにおさえがたい力で開いて行くでしょう。匂いのうちに一層深くおぼれながら。
 バックの本、考えて居りました。「その年」のこと、あれそのものについては、懸念のないものですが、一般にふれてのこととして全く正当な重点の見かただと思います。これは、あながち単純なハピイ・エンドに終らないようなものでも、ハピイ・エンドに終れないことを、気分的に只もってまわる場合にも生じる文学上の危険ですから、明るさなどというものは、現代にあって複雑きわまったもので、窮極は、あらゆる暗さを経つつある、その経かたにあるだけとさえ云えると思います。最も立派な形では複雑をきわめつくした単純さのうちにあり得るだけです。そしてそれは、誰もの日常にあるものでないし、又手放しで現象的に生きて私たちが身につけ得るものでもない。
「その年」の母は、元気をとり戻しかたが、現実の受け身な肯定でないし、あきらめでないし、ある生活的なプロテストとしてあるのです。現代の明るさというものがもしあれば、それは決して呑気《のんき》なテカテカ日向の明るさではなくて、非常に光波の密度の高い、その透明さの底に、或る愁をたたえた美しさのものです。非常に質の緻密な知性とそのひろやかさと歴史の洞察への長くひるまない視線から射出されるものです。ユリの明るさの感覚も、おのずからそこまで成長いたしました。子供の日和ぼっこのようなのや、何か殆ど肉体的な感覚的なものであったところから。面白いものね。ああ、でも決して所謂哲学的ではありませんから。どうか御安心下さい。感性的なものとして矢張りあるのですが、その質が大人になってゆくというわけなのです。
 うちにいてくれる人のこと。仰云っていることよくわかります。いつぞやもふれられて居た点でした。仕事している間、家の中大変な有様だとしても誰も小言は云わないのですし、自分の食事ぐらい、この頃の体の調子から苦労ではないし、果して、一人では迚もやれないかどうか、考え中です。一人になった当座は実にいやでしたが。気やすいところもあるの。いろいろの点で。伸縮自在なところがありますから、経済的にも。人をおいていれば、仰云っているような点でも、どうしてもちがうところが出来ます、決して主人根性ではなくてもね。人の労力というものについて、その消費者めいたところが出来ます。私たちのところでは、よそとは比かくならず、食事も一緒だし、外出日もきめてあるし時間の自由もあ
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