人。では又ね。まだ年のうちにかきます、あなたは?

 十二月二十七日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 目白より(封書 速達)〕

 十二月二十七日  第百十七信
 きのうそちらへ出かけました、玉子つきましたろう? どんな玉子? 丸々として居りましたか? たべられてしまうのだからいいこと。
 さて、お加減はいかがでしょう。私のかぜやっとぬけました。かぜがぬけたばかりでなく、きょうもさっきからしきりに気がついて眺めているのですが、腕や手がいやに白くなくて、薄赤くなっていて、私は随分久しぶりで、こんな自分の腕のつやを見る心持です。白いばかりでいやとよく思っていた、それが血色がさしているの。理研のレバー、それから御持薬、こんなにきくのでしょうか、ともかくこれは結構です、どうか御よろこび下さい。体に十分気をつけて、又よく勉強いたしましょう、来年も。
 従妹というもの、ましてたかちゃんのような子、一緒に暮すにいいものね。そして寿江子より、三つも年下のたかちゃんの方が、ずっと日常のたすけになること考えて、生活についても考えます。この間うちからポツポツ話してね。一月の初旬から洋裁をはじめさせます。二月一杯人をおいて、三月に入ったら、暖くて万事簡単になるから二人でやって、ほかのひとに払う分でたかちゃん勉強しようというプランです。しかしこれもこの前の手紙で申し上げたようなわけで、そのときの事情によります。私の外出が(一日がかりの)多くなれば人はいなければなりませんし。
 きのうの晩はフヂエが会へ一寸かえって二人きりだったので、すこし今度のことしんみり話しました。
 なかなかたかちゃんとしては要点にふれて考えています、将来、自分と対手とがあまり程度ちがわぬように成長して来るかどうかという点を第一に。今までの自分の周囲が余りせまかったことも知って居り、あっちのひとが、すこし負担として考えているところのあるのも知っていて、どうしてよいか分らない、というところです、これは正直なところと思われました。
 強いて、忘れようとすれば忘られない面も浮び上るのだから、マア自然にしておいて、生活の現実をどんどん進めてゆくがよいということにしました。生活そのものがつまりは決定するのですものね。
 あちらでは、ソラ大変、何でもすぐ片づけなければ、と満州あたりに行っている憲兵さんか何かに片づけようとしたのですって。あのひ
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