、お見えになるといいのに。ああなんと、このひとは釘を忘れない、という顔を)。
『哲学年表』届きましたろうか。
きょう『西郷』や何か一まとめの本つきました。
冷水マサツはポシャってしまいました。どうも本年の冬はひどい風邪がハヤるとお医者は予言をしているし、もしかかったら「ホラホラ、だから」と云われそうで、今からこまったような工合です。が、マアいいわ。石炭が不足で大変こまる冬が来るというので、七十二歳のおじいさんが発企で外套ナシのデモンストレーションがはじまったのですって。特にこの冬は外套なしで、というの。日本人の気質ってこういうところがあるのね。自然に対するこういう気質と、所謂風流とを考え合わせてみると、日本の文化の何かの問題があるのです。実にそう思った。真に思意的なものは、自然への融合というところで消してしまって、ごく低い肉体の力がものを云うような面でだけ非自然に自然に対すのね。そして、このことは風流の非自然性を裏から語っているのです。
火野葦平がかえって来ました。『朝日』にかいている。一般がこまっていないということに慶賀の詞をのべています。九州辺はそう見えるのでしょうかね。その記事のとなりに米のことが熱心に出ているというような新聞です。
林町では離れをひとにかしました。これまで川口辺に住んでいた画家です。どっさり子供がいる。あっちはガスが出ないのですが、この炭のないときやれるのかしらと思います。家賃20[#「20」は縦中横]也(まだ会ったことなし)。
林町の横のダンゴ坂から東京駅へ通っていたバス全廃。あの界隈は昔私が女学校に通っていた時分のようになりました。歩いてゆく人々は大したところとなった。
寿江子、英語ずっとやって居ります。
あぼちんは、あか子にやきもちやいていく分退歩してしまったそうです。年がちがいすぎるとこうでいけませんね。
この間の運動会では活躍したらしいのに、家であそべる子供が出来たら、どうも幼稚園へゆかぬらしい、御きげんとって貰うのがすきで。ケチな顔しているというので、考えている次第です。生活に一貫した何の気分もないところでは、子供がなかなかしゃんとゆきませんね。家庭なんて口で与える教育ではないもの、気分ですもの、時々刻々の親の生きている気分だもの。
達ちゃんのところから逆輸入は面白いこと。でも、それもいいでしょう、お母さんのお心
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