「思いしていたのか分らなくなりますから。十月の十日にはそちらへ行っていいでしょうか。四日には寿江子に行って貰うことにいたしますが。一度でもいやなの。何と慾ばりでしょう。病気して動けないのでない限り。この調子では何だかいやで自身出かけそうです。こうしてはどうかしら。三日朝出がけにそちらへ廻るとしたら。そちらはおかまいにならないでしょう。多分そんなことになりそうです。
食事のことや何か忙しいと、今の状態では閉口だし、人からにげたいし、きょう午後から仕事終るまで林町に籠城いたします。用事を足すにもいくらか便利ですから。多分九日まで(これはおそくても、です)。本当は七日まで、ですが。迚もむずかしいから。こちらの家はおみやさんが番をしてくれます。
ね、それからちゃんと坐って、三遍お辞儀をしてお願いいたしますことは、読書がたまってあとで一時になりますが、どうぞどうぞ御勘弁。お手紙、若し急な用なら電報等、林町へおねがいいたします。アトレイの本駄目でした。そのこと、もう書きましたね。いろいろすっかり片づけて、十月十七日にはさっぱり花を飾ってお祝いしようと、本当にたのしんで居ります。あなたは桃太郎のしわんぼだから、御褒美を丸ごと一つは下さらず、きっと半分下さるでしょうが、それでも私は大変それを楽しみに籠城にとりかかります。では、ね。
十月六日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 目白より(封書)〕
十月六日 第九十三信
三日づけのお手紙をどうもありがとう。五日に頂きました。まぎれ込んだ二つの手紙というのは、何となし忙しくていらっしゃる空気がわかるようで面白うございました。そうね。私たちもたまにはそんなこともあるぐらい古(!)夫婦になったというのはおめでたいというところでしょう。
表は、九月下旬からこの九日ぐらいまでひどいギザギザで恐れ入りますが、どうぞあしからず。私の三遍お辞儀の願いも黙認というわけでしょうか、どうぞこれもよろしく。今から雷よけをしておきます。
三日にはね、午後二時ごろまで、時間を浪費したあげくやっと二時間ほどでした。五日も無駄足。七日は全然出かけません。これでどうやら私の仕事は息をつきますから、何でもよしあしなものね。三日の二時間のうち二三分のエッセンスあり。劇的会話というようなものもいろいろの場面にあるものです。
五日には、バスで往復して、復のとき体がしゃ
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