i私が代筆よ)。
 泰子は相変らず一日じゅうよく眠り、のんでは眼をパッチリやって、又眠って。実に可愛い様子です。私たちからのお祝のほろ蚊帳が出来て、それは大きい赤い金魚がついていてね。その中に眠っている泰子はまことに奇麗です。女の子は妙に可愛いことね。汗が出るのでポツポツのおできが少し出来て、そのために目下入浴中止。大したことはないそうです。この娘はきっと大きい女になるでしょう。小さい足の先は細長いし(円くなくて)指の節ものびて居りますから。だから大いに笑うのです。咲枝たちよっぽどうまく粒の揃った子を生まないと、中條の方は皆ずんぐりですから。大きい子、円まっちいチビ、と並ぶと女の子なんか悲観するでしょうから。
 私は今特効ある持薬のほかにオリザニンをのんで居ります。オリザニンは夏の疲労には大変よいそうです。強《あなが》ち脚気はなくとも。そしてそのようです。くたびれがくたびれるにしても軽いのです。次の朝には癒っているという程度です。もう一つの薬は、何と血行をよくするでしょう。神経にもよい作用を及ぼします。のんでいるときや、すぐその後は、体のなかが暖くなるような感じで。オリザニンもそうです。こっちはアルコールが入っているから。
 木曜日、芝のひと面会に行きましたか。土曜日と間違えたのは、午後に行ってもよいということから何か話があの場でこんぐらかったのね(私がお話していたときのことよ)。
『家庭医学大典』もう届いていましょうが、如何でしょう。『医典』の方駄目ときまれば、南江堂の予約をとり消したいと思います。どういうものでしょうね。
 今、前の高村さんで、子供のためのレコードをかけています。太郎のレコードと同じように妙な音を出している。段々のろのろとなって、フーウと低くなって、又あわてて甲高い音になったりして。目白の方はよその家、子供がいないというのでもないのに、こういう音はどのうちでも余りさせません。その点いろいろ面白い。私はいつ頃目白にかえるか、一寸不明です。十日までこちらにいることは確実ですが。全く身元不明の派出婦をおくことは、別な面から考えはじめました。それやこれやで。ひさが手紙をよこし、年の若い娘で或は来るこがあるかもしれないと云って来たので、早速そちらへたのみました。いずれにせよ、誰かあれば大助りです。たとえお離れへ住むにしろ(これは大抵実現せず、寿江子の方をい
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