ゥりのものも書いて。もう大丈夫。眠ることも普通になりましたし。午後、佐藤さんが、工合わるがっているときいて聴診器をもってよってくれて、胸の音をきいてくれました。きれいな音の由です。実質に故障があればズットンズットンときこえる由。脚気などで弁膜が肥大しているとキッチリ開閉しないので、ズズットン、ズズットンと、ずった音がする由。なかなか面白いものです。私のは、スットン、スットンと滞らずうっているそうですから、どうか御安心下さい。神経性の不調というのは頭脳活動をする人が折々やるものだそうです。誰でも五月は体の工合にこたえるという話が出ました。私は例年桜時分が苦しいのだけれども、この頃は桜の季節もずったのかしら、今頃に。
 それでも(神経性でも)工合などわるくしていては相すみませんから、早速栄さん御愛用の薬を買って煎じてのみはじめました。それはつよい匂いのする漢方薬でね、まっ黒の汁が出て、ヤレと思いましたが、案外にのめます。浅田宗伯先生直伝という字が書いてあるから愉快です。私の体は独特で、いろいろよく出来たところがありますから、マアこうしてすこし手当すれば大丈夫です。漢方の薬も永い間にはきくでしょうし、実際きょうあたりはややきいたと思われる感じもありますが。どういうものか。
○臨床講座の 20、95 おくれていますが、これらは来月五日ごろでないと出来ないそうです。産業医学の方は十五日ごろの由です。どうかお待ち下さい。
 明日は三十日ね。どの位元気になっていらっしゃるお顔が見られるでしょう。いそがしくおなりになるのは九月下旬の様子ですから、ようございます。明日のかえりに六月六日のために島田へお送りするもの調《ととの》えるつもりです、何がいいかしら。やっぱりお菓子と思います。どんなお菓子がいいでしょう。くさりやすくないもの。そして美味しいもの、ね。お母さん今頃三枚の写真をながめて、又一しきりお話が弾んでいることでしょう。そちらへも一枚お送りします。それは、どっちかというと珍しいお母さんがうつって居ます、笑いかかっていらっしゃる顔。立派に実に堂々たる風格です。島田で写真とるときはいつも何かで、お母さんのお気が揉まれ切った揚句《あげく》ですから、いつもかたくなっていらっしゃいます。林町のときはお客で気がおもめにならず、のんびりして、これから不忍の池へでも行こうというところですからそ
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