います。
私の健康のことについていつもあまり細々《こまごま》とは書きませんが、それは大体工合よいからのことであると御承知下さい。大変よく気をつけて居ります。清らかなる肉体と精神とです。どんな余計なくせもついて居りません。寝床で本をよむということさえ、やっぱり元の通り致しません。
ところで、私の本が三月頃出たら、その印税で楽しみなことが二つあります。その一つは林町の父の親友たち爺さん達を招待して父をよろこばせること。もう一つは島田の父上の御隠居部屋をつくる資金の一部をお送りすることです。この計画は非常に楽しみで、そのために早く本を出したいとさえ思う位です。虹ヶ浜へ小さい家をかりてあげましょうかとも思ったが父上が家を離れなさることは不可能だから、お離れをこしらえて、そこでは埃をかぶらないようにしていらっしゃったらいいと、そう光井叔父上とも御相談したのです。これはいいプランでしょう? 私は娘であり同時に息子であるわけですからね、こういうことの実際に当っては。金のなかなかもうからぬことは閉口であるが。私はいい思い付はどんどんやることにきめて居ります。賛成でしょう? 余り細かい字でお目にわる
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