こちらの端のテーブルについてドウデエが一枚小説をかくと小さい息子がヨチヨチそれをむこうの端にいる母さんのところへもって行って、そうやって仕事をした。そのような思い出が書かれていた。私はよっぽど前によんで、トルストイと妻とのいきさつの正反対の例として、強く印象にのこされました。計らず昨今は、つる公といねちゃんとが、二台連結で、どっちが書いているのか分らないみたいにある時は仕事をしている、その様子を見る光栄を有するけれども。
小説「乳房」の出来については、読んでいただけなくてまことに残念ですが、一寸一口に云えないらしい。鉄兵さんは完璧であるが退屈であるといい、しかし退屈という表現が当っていないと見え、友達たちは退屈とは云わぬ。「進路」でも作者と主人公がくっついていたが、そういうところがあるといね公が云って居ました。直子さんにきょう郵便局のところで会ったら感心しましたと云われ、私は、いろいろ問題があるでしょうがと挨拶せざるを得なかったわけです。季吉さんたちから左向けで突走っているというようなことは半句も云わせなかった点をどうぞ買って下さい。戸坂さんは作品を、生活態度として買ってしまって百パ
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