信用しなかったのも全く根拠のないことではないわけです。
 叔父上は十二月六日に林町[自注3]にお出でになり父[自注4]にも会われ、いろいろのお話を伺いました。さしいれのこと、弁護士のこと、毛糸であんだ足袋のこと、いろいろ承知いたしました。お弁当のこと、弁護士のことは、大体私もそのように考えて居りましたから御安心下さい。籍のこと[自注5]ももう余程前からの話なのですが、やっと今度お話になられ、私も非常に満足です。あなたも其を当然のことと感じて、御返事下すったということはこれも亦私にとっては様々の意味で愉快なことです。そういう私の心持はおわかりになるでしょう?
 五日に叔父上のお会いになったときは、もうあの百日カズラに髯ボーボーではなかったってね。着物は先のままであったそうですが、今日あたりは差しいれたのが届いただろうと思って居ります。帯をしていらしったというけれど、それはどんな帯だったのか、私の入れたやすもののヘコ帯かしら。それとも違うのかしら、と叔父上に伺ったら「ヤアそれは気が付かざった!」と首をちぢめておいででした。
 六日の日は、お昼を竹葉の本店へお伴して、座敷が大変お気に入り、今
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