人々の恥辱を語るものであろう。
中学や高校生の質が急に低下して来ていることを、明日の日本のために慶賀する人が果してあるだろうか。形式にしばられれば、徳育も一つの頽廃であることは明らかだと思う。
小学校の先生の不足はこの二三年来到るところで云われている。八年制になると、先生の補給は、どうなるだろう。小学校の先生の過労も注目されて来ている。音楽の先生などは、これまでの殆ど倍の授業時間となるということをきいた。併合して教えるとするにしても、いちどきに百人から百五十人を入れる唱歌教室をどの小学校でも持っているというわけではあるまい。倍の労力に対する先生への報酬は、どのように変化するのだろうか。
国民学校へ移ってゆく現実の過程には、あらゆる面で、これまでドレミファとうたっていた唱歌をハニホヘトイロと歌わせるという以上に複雑な問題が、解決をまっていると思えるのである。
[#地付き]〔一九四一年三月〕
底本:「宮本百合子全集 第十四巻」新日本出版社
1979(昭和54)年7月20日初版発行
1986(昭和61)年3月20日第5刷発行
底本の親本:「宮本百合子全集 第九巻」河出書房
1952(昭和27)年8月発行
初出:「オール女性」
1941(昭和16)年3月号
入力:柴田卓治
校正:米田進
2003年5月26日作成
青空文庫作成ファイル:
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