、戦時利得税や、財産税をのがれるために濫費、買い漁りをしているから、インフレーションは決して緩和されない。却って、最近悪化して来ている。いくら、待遇改善しても、月給は物価に追いつく時は決してない。これがインフレーションの特徴である。めいめいの財布は空となって、遂にほうり出されている形である。闇の循環で、細々生きているような生命の扱いかたをどんな婦人がよろこばしいと思うだろう。
婦人の道徳の頽廃が歎かれている。しかし、これとても、一方では、食物につながった社会問題なのである。婦人の労働問題の合理的な解決が必要である一方に、食糧事情の民主的解決が緊急事となって来ている。
そのために、各種の現存の機構、組合にしろ、購買組合にしろ、それはどのように運営される可能があるか。私たちは改めてこのことについて学びたいと思っている。
こうして、各面で婦人の参加が積極的な、重大な意味をもって来るとき、日本の民法が主婦を、無能者ときめていることは、何たる愚かな滑稽であろう。その無能力者を、刑法では、そう認めず、処罰にあたっては、忽ち同一の主婦が能力者として扱われるという矛盾は、残酷という以上ではないだ
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