ちく、ちちと雀の声が聞える。
日足を擾して、一羽、梧桐の葉かげから、彼方の屋根に飛びうつった。ちちくくとせわしく鳴く。
又、一羽来て、今度は隣の庭にある、何に使うのか滑らかそうな材の頂上に止った。
二かたまり、流れる白雲と青空とを背にして、雀は、嘗て見たどの雀よりも、簡潔に、強く、心を動かした。
底本:「宮本百合子全集 第十八巻」新日本出版社
1981(昭和56)年5月30日初版発行
1986(昭和61)年3月20日第2版第1刷発行
底本の親本:「宮本百合子全集 第十五巻」河出書房
1953(昭和28)年1月発行
初出:同上
入力:柴田卓治
校正:磐余彦
2004年2月15日作成
青空文庫作成ファイル:
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