学者である天皇が細菌戦に特別命令を与えたという事実が明らかになったことは、あらゆる人を深く考えさせる。その沈潜するこころもちをまぎらすように、わやわやとした声でかつて軍部に扈従《こじゅう》して政治や文学を語った作家が、こんどは、軍事基地施設を拒むことは出来ないという吉田首相をとりまいて文学・政治を談じている。
これらの現実にかかわらず、地球は、今日も、あすもまわっている。地球の廻転がじかにそのこととして体に感じられないように、いつの間にか日本の現代文学は歴史の扉をひらかれて、アジアと世界の前に価値評価をうけようとしている。
底本:「宮本百合子全集 第十三巻」新日本出版社
1979(昭和54)年11月20日初版発行
1986(昭和61)年3月20日第5刷発行
底本の親本:「宮本百合子全集 第十一巻」河出書房
1952(昭和27)年5月発行
初出:不詳
1950(昭和25)年4月執筆
入力:柴田卓治
校正:米田進
2003年4月23日作成
青空文庫作成ファイル:
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