人が多い。経済的な点からもこのことはきている。
 文学の創造の中で故郷は昔と違った実際の姿でかかれるときがきている。ましてや現在、それぞれの大都会で、或は山間の企業のある場所で生活とたたかっている人々の多くは、すでに故郷を捨てて祖先の墓のある土地から根をきられて、そこへ動いている。
 故郷のない人々の文学が、故郷というものについての新しい文学的要素をかもしつつあるのだと思われる。
[#地付き]〔一九三七年四月〕



底本:「宮本百合子全集 第十七巻」新日本出版社
   1981(昭和56)年3月20日初版発行
   1986(昭和61)年3月20日第4刷発行
底本の親本:「宮本百合子全集 第十五巻」河出書房
   1953(昭和28)年1月発行
初出:「文学案内」
   1937(昭和12)年4月号
入力:柴田卓治
校正:磐余彦
2003年9月15日作成
青空文庫作成ファイル:
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