元禄時代小説第一巻「本朝二十不孝」ぬきほ(言文一致訳)
井原西鶴
宮本百合子訳

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)問《キヌ》屋

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)美人|問《キヌ》屋

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(例)※[#「女+里」、第4水準2−5−56]
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     跡のはげたる※[#「女+里」、第4水準2−5−56]入長持

 聟入、※[#「女+里」、第4水準2−5−56]取なんかの時に小石をぶつけるのはずいぶんらんぼうな事である。どうしたわけでこんな事をするかと云うと是はりんきの始めである。人がよい事があるとわきから腹を立てたりするのも世の中の人心で無理もない。自分の子でさえ親の心の通りならないで不幸者となり女の子が年頃になって人の家に行き其の夫に親しくして親里を忘れる。こんな風儀はどこの国に行っても変った事はない。
 加賀の国の城下本町筋に絹問屋左近右衛門と云うしにせあきんどがあった。其の身はかたく暮して身代にも不足なく
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