、こうも荒々しい実際を見れば、して貰うことは何でも感謝の、こじき根性と衷心において侮蔑を感じられてもしかたがあるまい。
わたしたちは、自分を、何千万かを殺す立場におこうなどとは思えもしない人民たちである。鈴木文史朗の暴言に対して、平和な、人間らしい心のすべての日本人の声として、つよく抗議する。鈴木文史朗にも妻子があり孫子もあるだろう。日本にのこっている封建的感情は、ハイ・ボールの一杯機嫌で気焔をあげるにしても、すぐ生殺与奪の権をほしいままに握った気分になるところが、いかにもおそろしいことである。この種の人々は、どこの国の言葉が喋れるにしろ、それは常に人間の言葉でなければならないということを知るべきである。[#地付き]〔一九四九年五月〕
底本:「宮本百合子全集 第十六巻」新日本出版社
1980(昭和55)年6月20日初版発行
1986(昭和61)年3月20日第4刷発行
底本の親本:「宮本百合子全集 第十二巻」河出書房
1952(昭和27)年1月発行
初出:「青年新聞」
1949(昭和24)年5月24日号
入力:柴田卓治
校正:磐余彦
2003年9月14日作成
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