一連の非プロレタリア的作品
――「亀のチャーリー」「幼き合唱」「樹のない村」――
附・創作活動と組織活動との統一の問題にふれて
宮本百合子

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)数多《あまた》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)子供らを教育[#「教育」に傍点]し、
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 十月下旬行われた作家同盟主催の文学講習会のある夜、席上でたまたま「亀のチャーリー」が討論の中心となった。ある講習会員が「亀のチャーリー」をとりあげ、その作品は一般読者の間で評判がよく親しみをもって読まれたから、ああいう肩のこらない作品の型もプロレタリア文学の中にあってよいのではないかという風に問題をおこし、プロレタリア文学のジャンルの問題に連関させていた。
 その晩、自分は最後の時間をうけもっていたのでおそく出席し、そもそもその講習会員がどんな発端からそういう話をはじめたのかわからず、鹿地亘が意見を述べるのを聞いていた。「亀のチャーリー」について問題とすべきはプロレタリア文学としての創作方法の問題であって、ジャンルの問題ではないということが説明されていた。自分は
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