当選して、二十八歳から六十六歳まで、三十九名の婦人代議士が、新しい明日に向って選び出されたのである。しかも、これらの婦人代議士の中には、それぞれの選挙区で最高点を得た人が五名もあった。棄権率のすくなかったこと、予想外に婦人に投票が集まったこと、この二つを世界が注目すべきこととした。
 同時にこの総選挙の結果は、日本が民主の国として再建設されてゆくことがいかに困難な事業であるかということをも、おおうところなく国際間に証明した。総選挙という方法は民主の方法であろうが、その方法を通じて反映された今日の日本の現実は、どんなに国内の保守の権力が根づよく、組織的で、日本が民主化して行こうとする進路をふさいでいるかという事実が、外人記者の観察にもはっきり語られたのである。総数四六四名の代議士が、各自所属している政党を眺めても、これは一目瞭然であろう。
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自由党 一三六名 (婦人) 五名 計 一四一名
進歩党  八七名 (婦人) 六名    九三名
社会党  八四名 (婦人) 八名    九二名
協同党  一四名 (婦人) ナシ    一四名
共産党   四名 (婦人) 一名  
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