学サークルを企業・農村のうちに組織する仕事をはじめた。音楽家同盟、演劇同盟、美術家同盟なども同じ活動を開始し、解放運動における政治闘争・経済闘争・文化闘争との間に必然的にある有機的な統一と、差別とがマルクス主義の立場からしっかり把握され、実践されはじめた。これは、日本の階級闘争の画期的進展を示すものであるし、同時にプロレタリア作家の階級的質を目に見えて向上させている。(作家同盟のサークル員は全国で四千五百名ある。東京、千四百三十八人中、婦人サークル員は百四十五人いる。)
雪は午後になっても降りつづけている。I君が、自転車でもう一遍サークル員のところを動員にまわると云って出かけた。I君は二十歳ばかりの青年だが、岩波書店のストライキで首切られ、下諏訪へかえって来てから○○君と一緒にサークルの仕事を積極的にやっているのだ。ふと○○君が、
「あなた、平田良衛君を知っていますか?」
と私にきいた。
「知っています。……どうしたの?」
「つかまりましたね」
「ほんと? いつ?」
「知らないんですか、きのうの新聞に出ていましたよ。小川君、野村さんという人、窪川鶴次郎もやられた」
「その新聞あります
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