ール・クラブのために汗を流して壁新聞を書いたりした。
 が、困ったことが出来て来た。おっかさんがだんだんショゲて来たことだ。おとっさんと別にいるのが辛くなって来たらしい。
 或る晩、おっかさんがペーチャの勉強しているわきで泣いていたと思ったら、次の朝ペーチャが目をさました時、家のどこにもおっかさんの姿が見えない。ペーチャはテーブルの上に、下手くそな字で書いてある置手紙を見つけた。
[#ここから2字下げ]
「可愛いペーチャ! かんべんしてくれなさい。私はお父さんが恋しくてたまらないからレスコフのところへ行く。かんべんしてくれなさい!
[#ここで字下げ終わり]
[#地より5字上げ]愚かな母より」
 涙がペーチャのほっぺたを流れた。
 それから、ペーチャは長いこと考えてたが、その手紙をもって村の集団農場の議長のところへ行った。
 議長は、その手紙をひろげ、読んでから、
「ふーむ」
とうなった。
「……ペーチャ、お前はさてどうするかね?」
 ペーチャは、答えた。
「俺は、集団農場さ残る。……だって、集団農場はサヴェートのもんで――俺《おい》らサヴェートの子なんだもん」
 議長は、大きなつよい手
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