ように、現段階にたってエンゲルスのこの書簡が読まれるについては矢張り幾つかの短い脚註の必要がさけ難いと思われる。
 例えばエンゲルスは、この手紙において、バルザックが「真の未来の担い手を見てとったこと」までにしか触れていないのであるが、今日の世界の到達点に生活する我々の実践的な要求にとってはそれから先きのこと、即ち、バルザックが自身の力で見てとった[#「見てとった」に傍点]真の未来の担い手に向って如何に結合して行った[#「如何に結合して行った」に傍点]かという、その現実の過程に迄立ち入って学ばなければならない。『マルクス・エンゲルスの芸術論』(岩波版)においてエフ・シルレルは精密な解註を附している。シルレルは、バルザックの芸術についてエンゲルスの言ったリアリズムとは、「資本主義的発展の内在的矛盾を――それが一般にブルジョア的創作方法に可能である限りにおいて、というのは、ブルジョア的リアリズムは究極において観念的[#「観念的」に傍点]なものになるからだ――解明するようなリアリズム[#「リアリズム」に傍点]」の問題であると、説明を加えている。これは妥当な註解であると思われる。然しながら、エ
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