あるそうだが、ずうっとひろげておいて今度はそこから零細なようでつもると大きいものを〔二字欠〕上げて来るという方法である。例えばどんなに税が高くあろうとも妻や妹はウビガンの香水を常用しているという部分の人々にはどういう感じをおこさせるかしらないが、都会の人口の大多数を占める下級中級の若いサラリーマン、勤労青年たちが、いささかの慰みとしてアパートの部屋でかけて聴いている蓄音器、レコードその他の楽器に新しく税がかかったり、写真機に税がかかったりすることは、直接月給が減ったのと同じような切ない感情を呼びさまされるのである。
[#地付き]〔一九三七年十月〕
底本:「宮本百合子全集 第十七巻」新日本出版社
1981(昭和56)年3月20日初版発行
1986(昭和61)年3月20日第4刷発行
初出:「作品」
1937(昭和12)年10月号
入力:柴田卓治
校正:磐余彦
2003年9月15日作成
青空文庫作成ファイル:
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