な冷淡さは、影を潜めて仕舞うだろう。到底、知らない振は仕切れないものがある。どうにか仕度いと思わずにはいられなく成る。
勿論、国として、ロシアが受けるべき批評は沢山あるだろう。けれども、何の為に、幾千万の人間が、まるで世界から見すてられ、一滴の愛もない飢餓の裡に犬死にをしなければならないのか。
世界は、今真剣になるべき時だ。人類の精神の流れが、根柢まで破壊された旧友朋の上に、新たな、健かな、生存の意義を見出そうとしている。非常な不健康や欠乏は、一時も早く改善され、互に、終局の目標に進めることが大切である。
広くもない地球の上で、幾千万と云う人間が、飢え渇え、獣物にまで成り下っている有様は、万の王宮を以て償えないディスグレースではないだろうか。[#地付き]〔一九二二年七月〕
底本:「宮本百合子全集 第十四巻」新日本出版社
1979(昭和54)年7月20日初版発行
1986(昭和61)年3月20日第5刷発行
初出:「東京朝日新聞」
1922(大正11)年7月23日号
入力:柴田卓治
校正:米田進
2003年5月26日作成
青空文庫作成ファイル:
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