の知的生活が多くのアメリカ人の日常生活から失われているということについては展望十一月号座談会の「アメリカ文化と日本」の中で、都留重人氏がこまかく具体的に語っておられます。都留氏の話は非常に参考になる。キャナライゼーションということが、人間の行動と思惟の自主的な統一をどんなに麻痺させてゆくものかということがおそろしいほどよく分ります。キャナライゼーションが「全人格を分解する作用をもっていて」「自分では自分で判断していると思っているのだけれど、しらずしらずに、あるいは単純な感覚反応を示している中に、一つの支配勢力によって動かされているメカニズムの中にひきこまれる可能性をもってくる」「意識の上では自分の独立判断でやっていると思うが、その基礎になっている新聞とかラジオとかをみると、ある一つの政治的勢力が大きな触手をのばして一つの方向にひきずってゆこうという効果をあげている」「人間をカラッポにして全部外へはみ出させてキャナルの中に入れる」。こういう「キャナライゼーションが発達すると人間はカラッポになって単純な感覚反応のくみあわせでその日その日のことを決めることになる」。しかし「その際重要視すべき
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