瓜のゆたかな山が到るところで目について来る。
ロシヤの夏といえば、ほんとに美味しい西瓜を思い出す。大きい切に塩をつけて、それをかじりながらパンをたべたりする。
ヴォルガ河を夏とおる船は、その平屋根に西瓜をのせて通っているし、この河で釣れるキスのような魚の清汁の味は実によかった。
そして、これらの季節の思い出のどの一節にも、遠くにか近くにか手風琴《ガルモシュカ》と歌声とが響いていて、そこには微かにロシヤの民謡につきものの威勢のいい鋭いかけ声もきこえているのである。
底本:「宮本百合子全集 第十七巻」新日本出版社
1981(昭和56)年3月20日初版発行
1986(昭和61)年3月20日第4刷発行
底本の親本:「宮本百合子全集 第十五巻」河出書房
1953(昭和28)年1月発行
初出:不詳
入力:柴田卓治
校正:磐余彦
2003年9月15日作成
青空文庫作成ファイル:
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