主たるメンバーを成すだろう失業せる婦人を。
 だから婦人の同盟員やサークル内の活動的婦人メンバーはさきに立ってメーデー前のこれまでの活動をより確かにしめくくるための集りを持ち、「春」や「花見」を口実にブルジョアが「眠りこませ」の方法として取り上げた芝居、活動、運動会その他の催し物に対する感想のブチマケ合いや、お互いの職場の不平、台所の心配をうちあけながら、近くのストライキ、更に戦争、文化連盟に対する弾圧その他を不自然でなく話題に上せながら、今年のメーデーには婦人、子供が、働く者とその全家族が参加して要求すべきものを要求するのだというところまで持ってゆくように。
 この実行は出来るだけサークル員の創意性を重んずる態度をもって話し合されねばならない。この際工場にいるサークル員がメーデー闘争の経験を書き、メーデーへの決意を書き、仲間へメーデーへのケッ起を訴えたものを書くように、それらが何処に於てよりも工場・農村その他サークル員のいる職場の仲間が出来るだけ多くいる所で読まれ、役立てられるように、そうした場所へ手をつくして一人でも多くの婦人を引出してくるようにしなければならない。
『文新』『働く婦人』等への投書家、読者、通信員へのソシキ的働きかけを忘れることなく、しかも最も直接的に、即刻なされねばならない。サークル活動をあくまでも主として。だが私達のサークル活動が、工場・農村のメーデー行進へ性急にひきずり込むためにのみなされて、広汎なサークル活動をおろそかにするようなことがあっては、勿論絶対にいけない。[#地付き]〔一九三二年四月〕



底本:「宮本百合子全集 第十四巻」新日本出版社
   1979(昭和54)年7月20日初版発行
   1986(昭和61)年3月20日第5刷発行
底本の親本:「宮本百合子全集 第九巻」河出書房
   1952(昭和27)年8月発行
初出:「婦人委員会ニュース」第二号、日本プロレタリア作家同盟
   1932(昭和7)年4月23日号
入力:柴田卓治
校正:米田進
2003年5月26日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。
前へ 終わり
全2ページ中2ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング