社会にありません。

 とくに、今日の行進は、日本の私たちにとって感銘ふかいものがあります。ついきのう、私たちは、自分たちの代表者である六種類の議員の選挙を終ったばかりです。私たちが、生活の建設と幸福を希って投じた一票は、ただの紙きれではありません。選ばれた議員たちは、それに、実行をもって答える義務があります。きょうのメーデーは、議員たちに、彼等を選んだ大衆への責任を一層明瞭に自覚させる日です。
 また、明後日、五月三日から、新しい憲法がその力を発動します。この憲法にしめされているあらゆる国民の基本的な人間としての権利を、働く幾百万の人民は、どのように実現させ充実させ、空手形でなくしてゆく意志をもっているか、そのことをも互にたのもしく理解し合う日なのです。世界をつなぐ花の輪に、私たち婦人のあつい思いと実行とを織りこめてこそ、それは真実に命ある花の輪となるのだと信じます。



底本:「宮本百合子全集 第十五巻」新日本出版社
   1980(昭和55)年5月20日初版発行
   1986(昭和61)年3月20日第4刷発行
底本の親本:「宮本百合子全集 第十五巻」の補遺、河出書房
   1953(昭和28)年1月発行
初出:「メーデーについて」NHKラジオ
   1947(昭和22)年5月1日放送
入力:柴田卓治
校正:米田進
2003年6月4日作成
青空文庫作成ファイル:
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