ソヴェト文壇の現状
宮本百合子
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)自棄《やけ》
|:ルビの付いていない漢字とルビの付く漢字の境の記号
(例)五|留《ルーブリ》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号)
(例)※[#感嘆符二つ、1−8−75]
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序
――目に見える変化――
ソヴェト文壇の空気はこの一二年に、ひどくかわった。
著しいかわりかたは、ハッキリ目に見えるところにある。「作家の家」と云って、ソヴェトのいろんな作家団体がそこに事務所をもっている昔の革命家「ゲルツェンの家」へ行って見るだけで充分だ。
われわれは一九二七年の暮、おしつまってモスクワへついた。多分、翌年の正月だったと思う。「ゲルツェンの家」で「日本文学の夕べ」が催された。
あんまり大きくない講堂で、円柱が立ちならんでいる舞台の奥にひろい演壇がある。レーニンの立像がある。赤いプラカートがはられている。そこへ、革命十周年記念祭のお客で日本から来ていた米川正夫、秋田雨雀をはじめ、自分も
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