る権利を与えられています。(但し革命までのブルジョアの残りや坊主などは、新しい社会を造るソヴェトへの選挙権は与えられていません。)
 ソヴェトの選挙は二年ごとに行われます。大抵三月頃、寒いモスクワではまだ雪の下でやっと木の芽がふくらみかける頃行われるのですが、その頃の町の景色の活き活きとして楽しげなことと云ったらほんとに皆さんに見せたい!
「働かざる者は食うべからず」という言葉の刻まれている高い高い塔の立っているソヴェト広場では、赤いプラカートが風に翻り、
 選挙へ! 一人のこさず!
 勤労大衆の代表と、社会主義社会建設の闘士を選べ!
と読める。
 工場の労働者クラブでは、毎晩のように選挙についての討論会が行われる。髪をきりっと布で包んだ婦人労働者も熱心に討論する。
 農村でも、話はソヴェト選挙にあつまって、農村を、集団農場を本当にうまくやって行くにはどんな人間を選び出したらいいかと討論する。
 村や町のソヴェトから、演説者が来て、どういう人を選ぶべきかを教える。
 勤労婦人は、ソヴェト選挙にあたって特別に本気です。何故なら、勤労婦人の現実の生活を身軽に、幸福にする各区の無料病院、託児
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