所、診療所、母子健康相談所、共同食堂の経営などは、みんな市ソヴェトの保健部の仕事と関係があります。
 ソヴェト政権は、勤労婦人に出産前後四ヵ月の給料つき休暇と、月給の半額までの出産支度金と、九ヵ月間の牛乳代まで出してくれる。
 それほど母と子との権利を守られていても自分の住む区に、託児所が足りなかったり、母子健康相談所の設備が足りなかったりすれば、何にもなりません。
 小学校の問題もある。ソヴェト同盟では全額国庫負担の小学教育を実行しようとしています。学用品から弁当、寒いところだから必要な防寒具まで小供のためには国家が出そうとしている。母親として、誰がこのことに冷淡でいられましょう!
 住居のことがある。ソヴェト同盟ではどしどし新しい労働者住宅が建つ、家賃が年々下る。(大体家賃、水道などは一ヵ月にとる月給の高によってきめられます)自分の区にも、便利な住宅がいる。
 それらの仕事を実行するのはソヴェトです。勤労婦人が、熱心にソヴェト選挙に参加し、投票もすれば、自分が選挙されたとき全責任をもって働くわけもここにある。
 プロレタリアのソヴェト政権を守り、闘って来たからこそ、五ヵ年計画は実現され、失業者というものがソヴェト同盟にだけはなくなった。(日本の失業は三百万人、ドイツは六百万人、アメリカ七百万人です)七時間労働です。賃銀はもとの三倍になった。毎年一ヵ月勤労者は有給休暇をもらって元は大ブルジョアの別荘や離宮だった景色のいい「休みの家」へ行ける。
 農村で、集団農場のクラブへさえ集まれば、モスクワからのラジオが聴ける。映画が見られる。診療所が出来た。学校が出来た。託児所と共同食堂が出来た。
 これらすべてはどこから来たか。勤労階級の解放されたソヴェトの世の中だからです。
 ブルジョア地主の日本では普選と云っても女はのけもので、特別な投票所をこしらえ、しかも投票の日に労働大衆に公休はよこしません。
 ソヴェトの選挙は、相当大きいところではみんな各工場の中で大衆的に行われます。つまり職場でやるのです。これも理屈にあっている。
 ソヴェト同盟の勤労婦人は、ところでどの位の割でソヴェト役員に選ばれているかと見ると、年々ふえている。市ソヴェトの例だけとってもこうです。
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一九二二年――九分八厘
一九二五年――二割
一九二七年――二割一分四厘
一九二九年――
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