身にいつも労働大衆の日常生活を盛込んでいる。だから、婦人俳優は舞台の上で一番自分に親しみの深い婦人労働者、党の婦人部の活動分子を演じる訳なのだ。
ラジオのことは私は少ししか知らない。しかし、おびただしい数の聴取者を持っている文化施設として、ソヴェト同盟が絶えずラジオを文化戦線の最前列に立たせようと努力していることは、はっきりと云える。例えばモスクワの郵電省の一部に特別なラジオ学校見たいなものがあって、直接産業別の労働組合と連絡をとって、定期に専門講演を放送してモスクワ以外の工場都市の労働者教育に貢献している。
農村でもラジオは非常に発達して、モスクワから何百露里も離れた田舎でメーデーの音楽やスターリンの演説を聞ける。
今度五ヵ年計画で集団農場がどんどん出来て行く。郵電省は自身の五ヵ年計画で数千の「ラジオ中心」を集団農場へ新設しつつある。プログラムは娯楽のプログラムの外に何時でも「農村に働く者の為めに」「農村青年のために」「農村婦人のために」「農村のピオニールは何を理解しなければならないか」「小学校の生徒のために」又時によると「エスペラント講座」などが放送される。けれども娯楽放送は、そのプログラムの立て方が小市民的であると云う批判がある。郵電省ではその批判を取上げて、プログラムを面白く、だがどこまでも建設のみちにあるソヴェト同盟のプロレタリアートのものらしくこしらえようと努力している。
そして、こういう文化的な設備はあくまで労働者、農民の利益のために、労働者、農民の立場から成されている。ソヴェト同盟をのぞく全世界のどんな国をとって見ても、その文化設備が少数のブルジョア達の利益のために出来ていることと、今私が云ったソヴェトの場合を較べて見ればそれがどんなに違うかわかる筈だ。
ソヴェト同盟では、「同一労働には同一賃銀」ということが正しく守られている。其処には男の労働者と女の労働者というような区別はない。男も女も同じ権利と義務をもって、社会主義建設のために働いている。[#地付き]〔一九三一年九月〕
底本:「宮本百合子全集 第九巻」新日本出版社
1980(昭和55)年9月20日初版発行
1986(昭和61)年3月20日第4刷発行
初出:「演劇新聞」
1931(昭和6)年9月1日創刊号
入力:柴田卓治
校正:米田進
2002年10月28日作成
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