ートがどんなに感動したかということを音でよく現している。それは何かというと、工場のヒューッという気笛、吹雪が、どんどん降る。旗がはためいている。ヒューッと鳴る気笛。弔砲がドンドンと聞える。非常に効果的な音の使いかただった。
それの一部で五ヵ年計画についての演説、それはモスクワの大劇場で行った。それはそのまま人間と演説が撮されて行くだけである。なかなか面白かった。
ソヴェトのトーキーの製作者はひどくその作品について謙遜である。アメリカのトーキーを見た時にこんな話がある。皆んながっかりしてしまって、到底俺達の技術はアメリカの技術に及ばないといってがっかりしたというけれども、しかし我々みたいに第三者から見ると、勿論アメリカはいい機械はもっているか知らないが、また技術も先に始めたから進んでいるかもしれないが、音と目から来るものとの結び付け工合は、全然ソヴェトのトーキーの方が上である。だからそういうつまり音の扱い方で、ソヴェトのトーキーが将来どういう風に発展するか、日本のようにこれからトーキーが出来る国ではこれが大いに参考になると思う。
映画は、勿論つまらない映画を見たい人間は一人もいない
前へ
次へ
全38ページ中34ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング