われを省みる
宮本百合子

−−
【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)脆弱《ぜいじゃく》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)一向|挙止《メンション》していない

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#地付き]〔一九二三年一月〕
−−

          一

『女性日本人』の編輯に従事して居られるY氏が見え、今度同誌で、各異る年代にある人々の、年齢感ともいうべきものを蒐集されるまま私は非常に興味あり、また有益なことだと思います。
 一体私共は余り無反省に年をとり過ぎます。年齢を云々することは、何故人生にとって意義あることなのか、省察する暇もなく、口真似のように「いくつ、いくつ」と云う。
 甚しい場合、時に日本等に於ては、年をとっていると云う一事実のみが、或る階級的権威を持つ場合があります。内容は重きを置かれない。為に、老若と云う時間的な差は、全く相互の人間的連鎖を破壊し、一つ地上に生活していながら草木に対する程の愛さえ、互に持ち得ない場合があるのです。科学者の或る者は、自然の大律である淘汰の原則によって、そうであると云う
次へ
全13ページ中1ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング